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「再生資源バブル」がはじけたら?(140号 2006年5月)

ミスターリサイクル
 最近、「再生資源バブル」という言葉を耳にする。現在の再生資源価格が80年代のバブル経済同様ある意味異常事態になっているというのだ。そして、急激な経済成長を遂げているアジアの一国に支えられている「再生資源バブル」は、このままでは、崩壊のリスクを回避できないと懸念されている。
 こんな話がある。コンビニなどで使われる割り箸の仕入価格が、昨年11月に突然、5割の値上げとなった。コンビニなどで使われる割り箸の大半が中国産である。その中国の生産者が一斉に輸出価格を引き上げたのだ。あまりにも中国依存を進めすぎたため、国内の割り箸産業が衰退し、リスク回避ができなくなってしまった典型的な例である。
 これは割り箸に限ったことではなく、日本の国内から野菜や果物の畑、洋服の工場、金属加工の町工場が次々と姿を消している。商品の価格が下がり、国内の生産者が対抗できずに、海外に市場を制覇されてしまっているのが現状である。
 それではリサイクル産業はどうだろうか? リサイクル産業もご多分にもれず、かなりの影響を受けている。実際、再生資源のペットボトルが大量に国外へ流出してしまい、国内のペットボトルリサイクルメーカーで原料不足が原因で倒産した会社があるという。
 割り箸を例に考えてみると、ここ10年で割り箸の大半が中国産になったのは、価格が国内の4割も安く輸入することができたのが大きな要因だ。4割安の価格をベースに、お弁当などに無料で提供していた割り箸は、ここに来て急に無料提供できないモノに変わりつつある。そして、リサイクル産業では「○割安で買える」ではなく、「○割高で売れる」+「粗悪品でも売れる」という状況がおきている。
 ここ数年、日本国内の自治体でおこなわれているリサイクルの推進は、この「再生資源バブル」に支えられている。いつ「再生資源バブル」がはじけて6年前のような再生資源の大暴落がおこりうるとも限らない。本来、リサイクルの推進には、「誰が、何を、どうやって、何に再生し、誰に再生品を買ってもらえるか」という仕組みづくりが重要である。再生資源を売るのではなく、再生品を売る仕組みをつくらない限り、「再生資源バブル」の崩壊リスクを回避できない。
ミスターリサイクル
※月刊リサイクルデザイン140号(2006年5月)に掲載。