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『罪を憎んで人を憎まず』ということ -裁判員制度開始を目前に思う- (174号 2009年3月)

ミスターリサイクル
 つい最近、落語を聞きに出かけた。
 もうすぐ裁判員制度が始まるところから、最近立て続けに起きた偽装問題へと話は進み、“罪を憎んで人を憎まず”という言葉が薄っぺらく聞こえてくるほど、最近の日本には人間味のない事件ばかりが起きている…とのまくらに続き、本題『柳田格之進』へと続く。
 話は、大店よろず屋の番頭が「50両が無くなった」と騒ぐ。よろず屋の主人が浪人柳田格之進と離れで囲碁を打っている時に主人に渡した50両が無くなった。そこで番頭は浪人が盗んだと決め付け、柳田の家に行き冤罪を突きつける。
 柳田は武士の誇りから「予り知らぬ事だが、その場にいたのが我が身の不運。明日には金子を用意する」と番頭を帰し、腹を切って身の証を立てようとするが、娘のおきぬが自らの身に替えて50両を作ると申し出る。翌日、その50両を番頭に渡す時に柳田は、「もし、金子が出てきた時は首をもらう」と告げ、柳田が盗ったと思っている番頭は二つ返事で約束する。
 数ヶ月後の暮れの大掃除、離れの額の裏から50両が出てくる。主人は「柳田様にお詫びを」と柳田を捜すが見つからない。
 年明け、挨拶回りの最中に番頭が柳田と出会う。柳田はすでに帰参が叶い江戸留守居役に出世していた。番頭に50両が見つかったことを告げられた柳田は「明日の昼に首をもらいに行く」と静かに告げる。翌日、主人は番頭を1日中帰っては来られない使いに出す。柳田が訪ねてくると主人は「この一件は、全て私がやらせた事です。私をお斬りください」と申し出る。そこに「旦那様は何も知りません。斬るなら私を…」と使いに出たはずの番頭が入ってきた。
 「もうよい!両名ともそこに直れ!」と言って柳田格之進は長刀を振り上げた・・・
 聞いたことが無い方もいらっしゃると思うので、噺の最後は皆さまのご想像にお任せする。
 “罪を憎んで人を憎まず”の根底には、罪を犯した人の後悔と反省があってしかるべきと私は思っている。この事ひとつをとっても考えは十人十色、千差万別なのではないだろうか。
 平成21年5月21日から裁判員制度が始まる。裁判員に選ばれた時に私には何が出来るのだろうか・・・
ミスターリサイクル